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大阪に生まれた4人の作曲家たち

オーケストラ・ニッポニカによる大阪ゆかりの作曲家による作品を集めた演奏会の感想

清水脩交響曲3

団員の方とTwitterでやり取りしている限り、聴く前からはロマン的な交響曲という予想は持っていませんでした。時代も戦後ということ、清水はフランス的な作曲家だという深井史郎による分類から、現代音楽に近いものを予想していました。(ロマン的なものを予想できる可能性の根拠としては、合唱曲「山に祈る」といった他の清水作品があるからです。)

いざ聴いてみると、やはり耳に残るメロディーというのは皆無でしたが、ところどころに感じる民族的な響き、バーバリズムさえ感じる強靭なリズム、そして特にフルートに聴くソリスティックな表現が印象に残りました。解釈をもっと多くしていけばこの作品はもっと成長すると思います(偉そうにすみません)。

 

♪宅孝二:ロンド・カプリチオーソ~小オーケストラのための

この作品にはまず一言「たまげた」といいたくなりました。

宅のピアノ曲プーランクの主題による変奏曲」の印象ばかり強かったので、今回の作品も洗練されたフランスの響きを感じさせるものだろうと期待していました。

しかし聴いてみるとビックリ…… アヴァンギャルドな響きではありますが、フワフワとかオシャレみたいな印象は受けません。「これはまたビックリだ」なんて思ってると今度はピアノのソロが出てきて、「プーランク」に似た響きに一転したのです。この作曲家はきっと何かある…!と感じさせた作品でした。もしもCDが出るならば繰り返して聴いてみたい曲です。

 

♪大澤壽人:トランペット協奏曲

まずは戯言から以前僕の夢の中に大澤壽人が出てきたことがありました。その時彼はピアノに向かって作曲していて、僕が「何を作曲されているのですか」と尋ねると大澤は「これはトランペット協奏曲だよ」とおっしゃっていました。(あくまでも夢の中での話です)

今回はその作品を実演で聴けました。第1楽章の冒頭から引き付ける魅力をもった響きから始まり(しかし協奏曲の始まりにしては大人しい)、ワルツの非常に親しみやすいメロディーが乗りやすいものだと思いました。第2楽章、思わず「え?終わり?」といいたくなるくらいの短さでしたが、この短さに大澤の音楽が凝縮されていると思いました。全曲中この楽章が1番ジャジーでカッコイイものでした。特に金管の奏でる音にはキラリと光るものがあり、一際この楽章を始めて聴く我々に魅力的に伝えてくれたと思います。

3楽章は、ソロも管弦楽もその実力を発揮している華やかな楽章で協奏曲のラストにふさわしいものでした。大澤が1950年代にトランペット協奏曲を作曲した背景には一体何があるのか気になるところですが、今回その曲を実演で聴けたのは有意義でした。

 

♪大栗裕:大阪俗謡による幻想曲

今回の演奏会4作品中おそらく1番演奏回数が多い作品です。僕もCDで聴いたことがあります。曲の構成がつかみやすく、曲想が宗教的になったり、華やかなものになったりと聴くものをあきさせない作品です。演奏者達の様子を見ても、生き生きとしていて、そのまなざしに、作品にたいする熱意をひしひしと感じました。この作品がノリやすいというのもあったのではないでしょうか(聴衆目線ですみません)。過剰な民謡の多用や民族的な表現は僕個人としてあまり好まないのですが、大阪俗謡の場合はそのような不満を感じさせないものでした。(大澤の「てまりうたロンド」も同様)